暖房器具として、私は薪ストーブを愛用しています。
薪ストーブは決して便利な道具ではなく、現代の他の暖房器具と比較するととても手間がかかります。
燃料となる薪を作るための木を入手するところから始まり、入手した薪を使用する太さに自分で割り、割った薪を積み乾燥期間を経て、その薪を使うときには庭の薪棚から家に運び入れる必要があります。
ある程度薪ストーブを使っていると内部に灰が溜まるため、定期的に灰は捨て、シーズンが終わればストーブ本体もメンテナンスを行う必要があります。
定期的にメンテナンスが必要なこと以外はどれも他の暖房器具では必要のない行為で、まさに「手間がかかる」道具です。
それでも、薪ストーブを使い続けて16年。
かけた手間暇を上回る、薪ストーブの魅力の一端をお伝えしたいと思います。
薪ストーブ導入の経緯
まず、なぜ薪ストーブを導入することになったのかについてお話したいと思います。
私が薪ストーブを導入するきっかけになったのは、「キャンプが好きだから、家でも焚き火がしたい」と思っていたというよくあるパターンです。
家を新築することになったので、実際に薪ストーブを導入することに決めました。
薪ストーブを入れてこんな楽しみ方をしたい!という具体的な薪ストーブライフのイメージなど無く、漠然とした憧れから導入を検討して、機種の希望も特にありませんでした。
家を建てる話が進んでいくなかで、薪ストーブについてまったく詳しくなかったので、費用やどんな工事が必要なのか調べ始めました。
ですが、2006年当時だとまだインターネットでの情報量もそう多くありませんでした。
薪ストーブを特集した本を購入しても「何が楽しめて何に苦労するのか?」といった具体的な情報が希薄なため、「薪ストーブのある暮らし」というのがどんなものなのか、イメージできずにいました。
「だったら実機を見に行こう」と魚沼の薪ストーブ屋さんを見つけ、直接連絡をして見学させてもらうことにしました。
そこに設置してあったのが、VermontCastigs社のENCORE(アンコール)です。
1986年の発売以来、世界中で高い人気を誇るバーモントキャスティング社のモデルです。
信頼できそうな人柄のストーブ屋さんと、ひと目見て気に入ったストーブがあったこともあり、導入する機種はENCOREに即決定しました。
薪ストーブで幸せを感じる瞬間
こうして新築と同時に薪ストーブを楽しむようになって16年になりますが、薪ストーブが他の暖房器具と大きく違うのは、「幸せ」を感じられるという点だと思います。
具体的にどんな瞬間に幸せを感じるのか、思いつく限り書いてみました。
とにかく暖かい
他の暖房器具と比べて、格段に暖かく感じるのが真っ先に感じることです。
体の表面しか暖まらないエアコンやファンヒーター等と違って、床や壁など建物自体が暖まるので、感じる心地よさは圧倒的です。
アーキラボのある新潟県加茂市は氷点下を下回ることも珍しくなく、まれにm級の積雪もあるような雪国です。
そんな地域にある我が家ですが、薪ストーブが稼働を始めれば1日中暖かく過ごせています。
雪が降る寒い日に、靴下もはかず薄着で過ごせるということに、得も言われぬ幸福感を感じます。
道具が楽しめる
これは予想もしていなかったのですが、薪割り道具を使うということにも楽しみを感じています。
薪割りをするにあたって、チェーンソー・斧・薪割り機・木回し等いくつかの道具を使用します。
それこそ薪ストーブが無い限り、一般の人が触れる機会があまりないものばかりです。
それ故に知識や経験を深めていく過程でこだわりや愛着が育まれ、道具を選んだり、使うこともすごく楽しめます。
斧だけで薪割りをする人、薪割り機を使ってお手軽にやる人それぞれいますが、無理にアナログなやり方にこだわらず、自分が一番楽しめるやり方で薪ストーブを使うのが一番良いと思っています。
私も今は大半を薪割り機で割り、体を動かしたいときに斧を振るような、気楽な姿勢で薪割りを楽しんでいます。
静寂と自然音の良さ
これも薪ストーブを使い始めて気づいたことですが、エアコンのモーター音もない静かさがとっても心地良いんです。
たまに薪が爆ぜる音がパチパチと鳴ったり、灰になって崩れた薪が立てる音が、家の中で自然と繋がっているような感覚を与えてくれます。
逆に、知人宅に行くとエアコンやファンヒーターの駆動音がひどく耳障りに聞こえてしまいます。
炎のゆらぎや薪の音に幸せを感じるのは、人間の遺伝子から来る安心感なのかもしれません。
ポッカポカの愛犬
薪ストーブをつけて1〜2時間もすると、床も暖まってきます。
そうすると我が家の愛犬は薪ストーブ前の特等席に陣取ってごろん。
全身ポッカポカになった頃には、深い眠りに入っています。
我が家を一番満喫しているのが、この子のような気がしています。
家族絶賛の薪ストーブ料理
薪ストーブで作る料理というのも、鉄板の魅力でしょう。
我が家の冬の定番料理は、薪ストーブで焼くピザです。
市販のオーブンレンジは高級機種でも最高温度が300℃ですが、薪ストーブの炉内は約500℃にもなり、これは専用のピザ窯に匹敵する温度です。
炉内に2分程度入れるとパリパリに仕上がり、ふわっとスモーキーな香りが広がります。
特別感を引き立ててくれる、家族大絶賛の一品です。
他にも、煮込み料理は天板の上に乗せておくだけで遠赤外線効果で勝手に柔らかくしてくれます。
豚の角煮やもつ煮などが美味しく仕上がり、家族が喜んでくれます。
手間さえも楽しめる、薪ストーブのある暮らし
薪ストーブを導入するということは、冬の暖房器具をどうするかという選択とは異なり、「暮らし方」の選択なんだと思っています。
手間がかかると前段で書きましたが、木を集めて割っていくことも大変ですが、切った木の運搬手段や割った薪の保管場所など、生活の場面に関わってくる問題もいくつかあります。
そんな薪ストーブを少しでも手軽に、多くの人の暮らしに取り入れていただくため、アーキラボではユーザー様に薪入手や道具の使い方もサポートさせていただきますし、割った薪も格安で配達販売させていただいています。
薪ストーブライフも含めてご提案しているので、よろしければ実際にアーキラボで家づくりをしたオーナー様インタビューもご覧ください。